世界とつながる!海外研修で企業力UP
県内から海外へ視野を広げ、研修や経営展開を図っている企業がいる。沖縄や日本と異なる文化や商習慣を現地で体験することにより、「人とのつながりができ、海外とのパイプができた」「実際の海外への事業展開に結びついた」「商習慣の違いに驚いた」など、さまざまな発見や波及効果、課題なども浮かび上がってきているようだ。 (安里則哉、高江洲千里)
支援事業活用 香港の消費者ニーズ把握
客の要望受け商品定番化
沖縄ハム総合食品(株) 謝花さゆりさん
食肉加工品や総菜の製造販売などを手掛ける沖縄ハム総合食品(株)。8年前、沖縄県物産公社から海外での物産展フェアへの出店依頼があったのを機に、食肉加工品をはじめ、レトルト食品や健康飲料など20種ほどを香港を中心に台湾、シンガポールで商品を販売する。
昨年、沖縄県産業振興公社の「万国津梁産業人材育成事業」を活用。香港での2カ月半の研修に参加した謝花さゆりさん(30)は「市場の動きや商品規制など香港貿易について学びました。商談から取引まで、スピーディーな対応が求められることを痛感しました」と話す。
海外で商品展開をする際に難題になるのが、現地の法律や規制への対応。「日本では使用が認められている添加物も香港では許可されていないため、輸出向け商品を製造する際は、それらを除外し、代用品で対応しています」。現地での営業活動をきっかけに6年前から取り組んでいる。
近年の動きとして、「2つのレトルト食品が香港の大手スーパー『パークン・ショップ』で定番化されました」と説明。昨年11月から同スーパーの64店舗で販売されている。
現地では、沖縄物産企業連合台湾営業所のサポートを受け商品を展開。台湾は、肉製品の輸入に規制があるため、現在は飲料が中心。さらに、現地の日系企業や県出身者と商取引を中心とした情報交換も積極的に行うようになった。
「県内では人気商品でも、現地ではそうでもないといった食文化の違いも実感しています。固定概念を取り払い、いかに現地の要望に応えられる商品を生み出すかが課題」と謝花さん。一食一パックでの販売といった食べやすい大きさや量、価格決めはもちろん、外国語表記といった海外向けのパッケージデザインも検討中。現在は月に1度、現地での商談や催事などに出店し、売り上げや客の反応を見ているそう。
「今は沖縄県物産公社や沖縄物産企業連合の支援を受けていますが、現地の日系企業と連携するなど、パイプを生かし、今後は自社で商品展開ができるようにも」と意気込んでいる。
2014年 5月 29日 第1403号 週間 ほ~むぷらざ