フリーズドライ 多彩な味わい
カレー・漬物・おから料理も
お湯や水を注ぐだけで作れるフリーズドライ食品が増えている。みそ汁やおかゆといった定番以外にもカレーや丼物、シチューにおから料理、漬物と多彩だ。単身世帯や多忙な共働き夫婦の増加を背景に、手軽に調理できる利便性が人気を集めている。
単身・共働き世帯に人気
「商品の種類が多いのでびっくり。便利でおいしいので重宝しています」。兵庫県内に住む50歳代の女性は毎日、弁当と一緒にフリーズドライのみそ汁を職場に持参し、昼食時に異なる種類の味を楽しんでいる。
フリーズドライは、料理を真空状態で急速に凍らせて水分だけを蒸発させる製法。高温で乾燥しないので風味や栄養素が損なわれにくい。常温で長期保存ができて軽く、携行食に最適だ。国内の食品メーカーは1960年代に導入し、幅広いインスタント食品に活用ししている。
選べるみそ汁
フリーズドライ食品で国内シェア首位の天野実業(広島県福山市)は200種以上の品ぞろえを誇る。おなじみのみそ汁に加え、ご飯向けに親子丼、中華丼といった丼物のもとや本格派カレーを用意。リゾットやシチュー、ポタージュなどもそろえている。減塩タイプもある。
2013年3月に東京・丸の内の商業施設内にオープンさせたアンテナショップ「アマノ フリーズドライステーション」では「選べるみそ汁」を限定販売。6種類ずつあるみそ、具材から好みのものを選んでオリジナルのみそ汁を楽しめる。
マーケティング部の担当者は「食生活や好みの多様化に応じて、品ぞろえを広げたのが人気の秘密。1世帯当たりの人数が減り、少量を手早く調理したいというニーズの高まりが背景にある」と指摘する。
同社の調査によると、全国主要スーパーのフリーズドライみそ汁の売り上げは13年で08年の3倍以上に伸びた。
拡大する市場
70年に発売した「さけ茶づけ」で初めてフリーズドライ製法を取り入れた永谷園はことし2月、おからを使った「卯の花」や「舞茸と小松菜の白和え」を発表した。水で戻せて「手間なくおかずを増やせる」と高齢者層に好評だ。マツタケなどの吸い物もそろえた。
京都市の漬物店「京都 森乃家」は4年前から、地元の京野菜で作ったフリーズドライの漬物「菜乾」を販売している。水を加えて混ぜると完成。「聖護院大根刻みたくあん」「賀茂なすしば漬け」など10種類以上ある。常温で180日保存できて、常備食としていつでも食べたい分だけ戻せる。海外旅行などの携行食としても人気だ。
フリーズドライ食品は贈答用や災害時の保存食、介護向けなどにも用途が広がっており、市場は一段と拡大しそうだ。
2014年 6月 1日 沖縄タイムス