特集
- 本部町 農業生産法人㈱もとぷらす 岸本清洋さん
基本情報 | |
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名前 | 岸本清洋さん |
場所 | 本部町 |
作物 | もとぶピージャー |
農家歴 | 17年 |
本部町ではヤギのことを「ピージャー」と呼び、ヤギ食をはじめ、「ピージャーオーラサイ(闘ヤギ)」などの伝統文化が今も残る地域です。その文化を新たな産業へと発展させるため、生産者が集まり平成23年「もとぶピージャー生産組合」が発足しました。
その組合ではもとぶピージャーの生産技術の向上や安定生産に向けての情報の共有や意見交換などを行っています。
もとぶピージャー生産組合の組合員であり、農業生産法人㈱もとぷらすの牧場を訪ねると、たくさんのヤギがのびのびと飼養されていました。牧場は嫌なにおいがなくふかふかのワラが敷かれ、ゆとりある檻の中や外に繋がるスペースでゆったりと過ごしている本部ピージャーの姿が印象的です。檻の中から飛び出す子ヤギもいて、人懐っこく牧場長の岸本さんにすりよります。2012年、ヤギの人工授精の講習会等を受け、今年、県内でも数少ない山羊の人工授精師免許を取得しました。
- ボア種とザーネン種を掛け合わせた新しい品種
本部ヒージャー(山羊)のデュクセル詰め
- もとぶ香ネギとヤギの風味を活かして
材料 | 1人分 |
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本部ヒージャー | 80g |
本部香ネギ(輪切り) | 6本 |
しめじ | 30g |
えのき | 20g |
アミ脂 | 約50g |
ヨモギ | 20g |
松の実(粒マスタードソース) | 20g |
パルメザンソース | 30g |
オリーブオイル | 20~30cc |
フォンド・ヴォー | 50cc |
粒マスタード | 約75g |
片栗粉 | 少々 |
香ネギ | 1本 |
ゴーヤー(輪切り) | 1個 |
南瓜 | 20g |
プチトマト | 1個 |
チンゲン菜(小) | 1個 |
<粒マスタードソース> | |
香ネギ(株のみじん切り) | 1株 |
白ワイン | 30cc |
フォンド・ヴォー | 50cc |
粒マスタード | 約15g |
塩、こしょう | 少々 |
片栗粉 | 適量 |
- 牧場で育てているもとぶピージャーはどんなヤギですか?
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牧場では現在120頭ほどのもとぶピージャーが育てられており、ザーネンという種類のヤギが主です。ザーネン種は昔から沖縄で育てられており、スマートで、ピンとあがった耳が特徴。
現在この牧場では沖縄に古くからいるザーネン種と肉量が多いニュージーランド産ボア種のヤギを掛け合わせた新種のヤギ生産に取り組んでいます。ザーネン種はヤギ独特の香りや旨みが強い肉で、ボア種は肉量、脂身が多く、香りが少ないのが特徴。その二つを掛け合わせることで、肉量が多く、在来のヤギの旨みやほのかな香りは残しつつ、万人が食べやすい品種の生産を目指しています。この取り組みは沖縄県の事業として行われており、もとぶピージャー生産組合は積極的にこの取り組みに参加しています。ピージャーを食べ慣れていない若い人たちや観光客にもおいしいといってもらえるピージャーを育てたい。そうしてピージャーの消費が増え、新種のピージャーの登場により1頭からたくさんの肉がとれるようになれば、産業として確立されていく道筋が見えて来ます。人工授精や新種のピージャーの飼養はまだまだ始めたばかり。これから試行錯誤しながら、いいヤギを育てていければと思います。
- ヤギ肉の特徴や調理法をおしえてください?
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ヤギ肉は脂分が多いイメージがありますが、実は「ヒージャーグスイ=山羊薬」といわれるくらい、高い栄養価があります。
カロリーが低く、高たんぱくで低コレステロール、鉄分が豊富な健康食材。そんなヤギ肉をもっと多くの人に食べてもらいたいと農業生産法人㈱もとぷらすではさまざまな食べ方を考案しています。
メニューはヤギ肉のサラダ、ヤギピザ、ヤギ肉マン、ヤギミルクで作ったスコーンなど新しいヤギ料理が豊富にそろっています。
- ヤギ肉のカルパッチョ
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取材に伺った際にいただいた料理は、在来のザーネン種で作ったもの。メニューはヤギ肉のサラダ、ヤギピザ、ヤギ肉マン、ヤギミルクで作ったスコーンなど新しいヤギ料理が豊富にそろっています。どの料理もヤギ肉の香りがチーズやスパイスなどとあわさって驚くほど食べやすく、おいしい。けれどヤギ肉の香りと旨みはしっかり残っています。定番のヤギ汁も嫌なにおいはほとんどなく、ヤギ肉の出汁の味もしっかり感じられる優しい味わい。そして栄養は満点です。
料理を開発しているもとぷらすの茂刈さんは「ヤギピザは本当に好評。ヤギ肉をひき肉にしているので使い勝手もいいんです。これからはいろいろな部位にわけたり、料理に使いやすいようにヤギを販売できたらと思っています」と話してくれました。
より万人に受ける品種の登場、栄養価の高さ、新しい食べ方の提案、何より愛情をかけてピージャーを育てる生産者の方々の努力によって、もとぶピージャーが牛肉や豚肉、鶏肉のように広く愛されていってほしいと思います。
「今日は疲れたからヤギを食べようか」ともとぶピージャーを手にとってもらうことができる食卓はきっと今よりもっと豊かな食卓になるに違いありません。
取材日:2013.11.15