コラム おいしい沖縄

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みんなのお菓子 あなたも私も食べたはず

みんなのお菓子 あなたも私も食べたはず

庶民のお菓子の代表といえば「サーターアンダギー」です。
そのまま日本語に直訳して「砂糖天ぷら」という呼び名もあるこのお菓子は、まさに沖縄風ドーナッツ。小麦粉と卵と砂糖を混ぜたものを油で丸く揚げたものです。

これはどこの家庭でも作れるお菓子で、その家ごとに特徴があり、大きさや甘さが違っていたりして、「あのおばさんが作るのはおいしいさぁー」という、サーターアンダギー名人もいるほどです。

サーターと略して呼ばれることも多いのですが、作り方で難しいのはタネを手のひらで取り、片手でうまく油に落としていくところです。
親指と人差し指で丸くなるように押し出すのは、結構熟練をようする作業です。油に落とししばらくするとパックリと生地が割れてきます。
中国菓子の開口笑が原型といわれているように、笑っているように生地が割れるのが上等なサーターアンダギーの印です。

サーターアンダギーと同じく、家でつくれるのがチンビンとポーポーです。小麦粉と砂糖を混ぜた生地を使うところは同じで、サーターアンダギーがドーナッツなら、チンビンやポーポーはクレープといえるでしょう。
チンビンは黒糖を使い、焼いた生地をくるくる丸めます。ポーポーは白糖を使って焼き、中に油味噌などを入れてくるくる丸めます。どちらも丸めてあるので、手で持ってパクパク食べられるところが良い所です。
テーブルの上に置かれているのを見て、ついつい何本も食べてしまった人も多いのではないでしょうか。

サーターやチンビンやポーポーは家で作るものですが、買ってたべる懐かしいおやつというと塩せんべいがあります。イッセンマチヤー(駄菓子屋)の定番中の定番です。
小麦粉と塩と水で作った丸いせんべいは、普通の焼きせんべいではなく、ポン菓子のように機械で圧力を掛けて一気に丸く仕上げます。

塩せんべいはこれほどシンプルな材料にもかかわらず、なぜか作っているところによって味が微妙に違います。塩の味とか塩のつき方とか油の量とかなのですが、こだわりのある人もいて、塩せんべいだったらこのメーカーのものしか買わないっていう人もいるくらいです。

そのほか、本島南部では有名な「のうまんじゅう」とお饅頭があります。こちらは大きめの餡まんを想像してもらうとちょうどよく、月桃(さんにん)の葉の香りが食欲をそそります。

表面に大きく食紅で「の」の字が書かれているところから「のうまんじゅう」と呼ばれています。「の」の文字は熨斗の略なのだそうです。
スーパーで売られていることもあるので目にしたことがあるかもしれませんが、蒸したてを食べるのが一番おいしいのは言うまでもありません。

伝統的なお菓子は、沖縄の宮廷で食べられていたものや、庶民の行事で作られてきたものなど、まだまだたくさんあります。
その中でサーターアンダギーやチンビン、ポーポーは今も普通に親しまれているアンマーの味です。材料も手に入りやすいものばかりなので、是非わが家の味づくりに挑戦してみて下さいね。

福田 芽久美

2011/05/24