「沖縄風結婚式」の変遷
オフィスの窓から
「沖縄風結婚式」の変遷
屋部 司
20~30代の方はご存じないと思いますが、40~50代の方は覚えていませんか。
昔、父や母が結婚式に招待され、折詰めをお土産に帰って来たのを。その折り詰めには、いっぱい敷き詰められた赤飯や巻きずし、もう一つには尾頭付きのタイなど、普段お目にかかれないごちそうがいっぱい並んでました。子供のころは、それを開けるのが楽しみでした。
沖縄では1970年代までは、折り詰めや一合瓶の泡盛、瓶入りジュースやコーラが公民館や結婚式場でずらりと並んでいる披露宴が全盛で、招待人数も400人は当たり前、中には500~600人の披露宴もあったと先輩方から聞きました。今回は昔と今の披露宴の移り変わりについて書いてみようと思います。
まず料理ですが、80年代ごろから丸いテーブルの上にターンテーブルという現在の形になってきました。飲み物には革命が起きました。大手メーカーが瓶入りソフトドリンクの製造を中止した事です。これには各会場頭を悩ませたことでしょう。もう一つはノンアルコールビール。ハンドルキーパーには大変ありがたい革命だったと思います。
ご祝儀袋も様変わりしてきました。昔は水引きが印刷されたご祝儀袋がほとんどでしたが、100円ショップが出始めたころから、水引が付いたものが多くなり、デザインも豊富で、受け付けに彩りを添えています。
プログラムも、昔は25番は当たり前でそこの飛び入り、最終的には30番ほどになり、時間も4時間かかっていました。そして沖縄の披露宴には無くてはならない余興!これも革新が有りました。昔は流舞やダンス、中には大人が10人程並んで歌に合わせてお酒を一気に飲む「まず一献」という急性アルコール中毒になりそうな余興もありましたが、その全部に共通するのは、当日は舞台に上がって演じることでした。
最近はビデオ余興が増え増した。ある披露宴では四つぐらいがそれでちょっと寂しい気もします。いずれにせよ披露宴を盛り上げようとするウチナーンチュの精神は今も昔も変わらない気がします。
何はともあれ、折り詰めに箸を付けずに、家で待つ子どものために持ち帰ってきてくれた両親に今更ながらに感謝です。
(ビック沖縄常務取締役)
2014年 6月 9日 沖縄タイムス