規格外品用い商品化
”ヒット”のたまご
沖縄物産コーディネイター 池村 博隆
津堅島のニンジン
農業生産法人・萌芽
商品開発・販路開拓で「情熱」は強力な武器です。自分の生まれ育った土地の産品を販売するという「情熱」で、地元に利益を還元できれば、こんなに幸せなことはありません。
津堅島といえばニンジン。おいしさの秘密は、海の恵むをたっぷり抱いた津堅島の土と人にあります。周囲7キロの島には風に乗って海のミネラルが運ばれ、畑に降り注ぐ。海藻などを畑にすき込み、農薬はほとんど使わず丁寧に草を取り、農家が愛情をニンジンに注ぎ込む。
農業生産法人・萌芽(うるま市、赤嶺操子代表)の役員、赤嶺かおりさんは、農家が無農薬を貫くがゆえに規格外のニンジンが大量に発生し、廃棄処分される場面に遭遇し、衝撃を受けました。
味は規格品と変わらない。愛する島のニンジンを全て商品化する決意で、4年前に家族で萌芽を設立。規格外品を粉末化し、鮮やかな色や味にこだわった「にんじんパウダー」(50グラム入り、税込み640円)や、乾燥処理した「にんじんしりしり」(40グラム入り、税込み310円)を商品化しました。
うるま市の特産品開発事業にパウダーが採用され、スポンジやクリームなど全てにパウダーを使用した「津堅にんじんロールケーキ」が完成。地域で愛されるヒット商品になりました。
ある家族の思いが島を動かし行政との連携に導く。「情熱」がベクトルと合致した時、物事は動きだすと感じました。
【メモ】萌芽(那覇営業所)那覇市寄宮2-35-12 TEL:098-855-5560
2014年 6月 9日 沖縄タイムス