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万能 塩レモンに注目        国産品 需要拡大に期待

レモンを塩漬けにして作る調味料「塩レモン」に注目が集まっている。簡単に作ることができるうえ、塩にレモンの酸味が加わることで味付けに塩が少なくて済み、健康意識の高い女性を中心に使う人が増えている。国産レモンを使うをことが推奨されており、需要拡大にも寄与しそうだ。

「夫の晩ごはんに全部これをかけときゃいいわね」。4月、東急ハンズ渋谷店で行われた塩レモンの作り方講座で、参加者の女性がおどけて話すと、周囲は笑い声に包まれた。「作るのが簡単で、日持ちし、どんな料理にも合う」という特徴から出た発言だ。

塩レモンは以前からじわじわ注目されていた。今年、モロッコの伝統的な調味料としてテレビや雑誌で多く取り上げられ、爆発的に認知度が高まった。料理レシピ検索大手のクックパッドでも、塩レモンを使ったレシピは4月から検索数が増え、5月19日~25日には検索ワードランキングの3位になった。

小さめのふたのついたビンの底に塩を敷き、その中に切ったレモンを入れ、上からまた塩をかける。1日に1度ビンを上下逆さにして混ぜ、暗く涼しい場所に置く。これを2週間~1カ月ほど続けるだけで完成だ。

「塩のからさとレモンの酸味がとてもマイルドになり、どんな料理にも使える」(日本ソルトコーディネーター協会の青山志穂代表理事)という。皮や果肉は肉料理に使い、ビンの底にたまる塩味の果汁はサラダのドレッシングに使える。汁をバターに混ぜればクリーム状になり、菓子にも使える。モロッコでは鍋などの煮込み料理にも使っている。

塩レモンや塩レモン味の商品も広がりを見せている。東京・文京区のカフェでは自家製塩レモンを1ビン2000円で販売する。ローソンも昨年8月、「からあげクン瀬戸内塩レモン味」を期間限定で販売した。

レシピなどでは、使うレモンは安全な国産が推奨される。輸入レモンは鮮度を保つためワックスが塗られていることが多く、皮つきの塩レモンには不向きという。国産レモンは国内消費量の1割強にすぎないが、需要が拡大する可能性がある。

レモンの生産量シェアが5割で全国1位の広島県。JA広島果実連の担当者は「塩レモンなど需要の拡大に合わせ、さらに収穫量を増やしていきたい」としている。

塩レモンの組み合せは、以前から提供されてきた。焼肉では以前からタン塩をレモン汁につけて食べる。塩とレモンを何度も継ぎ足す作り方は、日本の家庭で多く作られてきたぬか漬けにも似ている。日本には塩レモンを受け入れる素地がもともとあったのかもしれない。 

(三隅勇気)

 

2014年 6月 5日  日経MJ