特集
- うるま市 上田清さん
基本情報 | |
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名前 | 上田清さん |
場所 | うるま市 |
作物 | 黄金芋 |
農家歴 | 約10年 |
みなさんは黄金芋(おうごんいも)という芋が沖縄にあるのをご存知でしょうか。黄金芋はその名の通り、黄金色をした芋のことです。見た目はサツマイモと同じですが、皮をむくと、かぼちゃのような鮮やかな色をした身が出てきます。
黄金芋は、うるま市与那城の伊計島で栽培されています。今回お話を伺った黄金芋農家の上田さんは4000坪の広大な畑を持っています。黄金芋の特徴はその色と、強い甘みと上田さんはお話してくれました。通常のサツマイモに比べても糖度がかなり高く、特に夏の時期の黄金芋は甘みがのり、「天然のスイーツ」と言えるのだそうです。
伊計島で栽培され、地元の方々に愛されている黄金芋ですが、実は伊計島在来の芋ではありません。黄金芋は10年ほど前に、旧与那城町長の山根勉ざんが「なんとか島おこしを図りたい」と親交のあった梶山静六氏(当時内閣官房長官/沖縄担当大臣)に相談したところ、茨城県でもまだ流通していなかった「黄金芋」の苗をもらい受けたのだそうです。
最初は初めてみる黄金芋に関心を寄せる人々は少なく、なかなか栽培が普及しなかったのだそうです。しかし半信半疑だった伊計島の人々も、山根町長に「島民自らが誇りに思える特産品を作りたい」と薦められ、黄金芋を食し、そのおいしさから「この芋で島の活性化ができる」と信じ徐々に普及していきました。
- 真摯に芋と向き合う上田さん
- 黄金芋がおいしい時期はいつですか
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黄金芋は、4~8月ごろにかけて苗植えが行われます。苗植えから3ヵ月半~4ヶ月で葉が黄色くなり収穫が行われます。上田さんの畑では収穫した畑に再度苗植えを行い、一年中収穫をしています。「黄金芋は甘みが強いのが特徴なんだけど、伊計島で育てるのが甘みが強いと聞きます。島尻マージの土壌と海風が強く、そのミネラルなどで甘くなってるのかもしれないね」と上田さんはお話してくれました。また黄金芋のしっとりとした食感は水分のバランスがいいからなのだそう。芋を育てる中で適切な水分管理には気を使っているとおっしゃっていました。「でも自然相手だからね、毎年毎年いろいろなことが起きて、たくさんのことを学んでいるよ。いつもいい芋を作りたいって思いながら畑にでているんだ」と言葉少なにおっしゃる上田さんだからこそ、おいしい黄金芋を作ることができるのだと思いました。
- 黄金芋はどのように加工、販売されていますか
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黄金芋はそのおいしさと加工のしやすさで、料理やお菓子に生かされはじめています。上田さんの奥さま、淳子さんは黄金芋をカレーにしたりお餅にしたり、日々の食卓に取り入れています。黄金芋のカレーはじゃがいもの代わりに黄金芋をいれるのだそうですが、お孫さんに大好評。黄金芋を練りこんだお餅も表面はさくさくで中はふんわり甘く、あと引くおいしさです。また近隣の飲食店やお菓子屋さんでも黄金芋のチップスや、まんじゅう、カップケーキ、アイス、ちんすこう、黄金芋を使った丼など、さまざまな料理が展開されています。山根町長の思いが、伊計島の生産者に受け継がれ、島を飛び出して多くの人々に受け入れられています。
- 地元の人々がおいしさを知る、地元で愛されている芋
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黄金芋は身の色がかぼちゃのような色をしています。茨城県から入ってきた芋で10数年前から伊計島で育てられて、甘みが強く、なめらかでねっとりした食感。繊維が口にさわることが少ないので、そのものがお菓子のようななめらかさです。
うるま市では様々な加工品が商品化され、販売が行われているのはやはり黄金芋が可能性を秘めている芋だからこそ。どんどん広がる黄金芋の輪は、地元で愛される芋から沖縄の特産品になる可能性を秘めているのではないでしょうか。
認知度で言えばまだまだ全県に知られてはいない黄金芋ですが、あやはし館や中部の直売所などで販売すると飛ぶように売れる商品でもあります。一度購入した人が伊計島まで買いに来ること多いのだそう。「伊計島の黄金芋」のおいしさがもっと県民に知られ、黄金芋で伊計島がにぎわう山根町長が思い描いた日も遠くないかもしれません。
取材日:2013.10.25