特集
- うるま市 沖縄ミーバイ生産者さん
基本情報 | |
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名前 | 沖縄ミーバイ生産者さん |
場所 | うるま市 |
作物 | 沖縄ミーバイ |
農家歴 | 10年 |
ミーバイとは沖縄の方言でハタ類のことをいいます。サンゴ礁に囲まれた沖縄の海にはさまざまなミーバイが生息しており、最近では主にヤイトハタの養殖が盛んに行われています。ヤイトハタの身はコラーゲンたっぷりで白身はあっさりとした甘みのある味わい。そのヤイトハタを沖縄県ミーバイ生産者販売促進協議会では「沖縄ミーバイ」と呼び消費拡大に取り組んでいます。沖縄ミーバイは県内のいくつかの養殖場で育てられていますが、今回尋ねたのはうるま市宮城島の久米水産株式会社の養殖場です。沖縄ミーバイはうるま市の特産品にも認定されています。
沖縄ミーバイは沖縄県栽培漁業センターで飼育しているミーバイから卵をとり、ふ化した稚魚に餌を与えて大きくします。約2 ヶ月かけて15g 程度の大きさまで育てたあと、県内各地の生産者へ供給されます。久米水産の養殖場では3月、4月ごろにその稚魚を養殖場に放ちます。久米水産の沖縄ミーバイ養殖場は宮城島伊計沖、水深25m~30mほどのところにあります。今年は1万匹ほどの稚魚を育てています。それから約2年半をかけて1.8~2キロまで成長させ出荷します。
- 出荷直前の沖縄ミーバイ
- おいしい状態で出荷する方法などありますか
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苦労して育てた沖縄ミーバイを最もおいしい状態で出荷するため、絞め方にもこだわりを持っています。沖縄ミーバイは水温や締め方によって鮮度や味わいに差がでてしまうため、沖縄県ミーバイ生産者販売促進協議会では締め方も統一をはかるべく取り組んでいます。またその技術を高めるため協議会内で専門家から効果的な締め方を学ぶ講座を開設し、生産者への技術習得を行っております。そうすることによってどの養殖場から出された沖縄ミーバイも高いレベルの味わいを保つことができるのです。この方法で締められた沖縄ミーバイは、熟成し、濃厚な旨みがたっぷり感じられます。
魚離れがさけばれる昨今、沖縄でも魚の消費量は低い水準のままです。久米水産の新垣さんは「今後は、沖縄ミーバイも一般の食卓にあがるように生産・販売努力をしていきたい。安定的な生産はもちろん、沖縄ミーバイをもっと広く知ってもらうよう取り組み、地元の人々に沖縄ミーバイを食べてもらえるような仕組みづくりをしていかなければ」と話してくれました。
- 沖縄ミーバイを育てる環境作りはどのように行っていますか
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宮城島は適度な海流があり、海水の浄化の力が強いです。しかしその分、海が荒れることも多く、いけすの網がやぶれてしまうこともあります。台風の時期は暴風域に入るぎりぎりまで稚魚の世話をしたりと苦労は多いそう。潮がおだやかな場所は人間が作業を行うには安全ですが、水の浄化がおいつかず、海が汚れ、魚に新鮮な水がいきわたりません。おいしい沖縄ミーバイを育てるためにはこの環境整備は欠かせないのです。
- エサや環境へのこだわり
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「沖縄ミーバイを育てるにはエサが大事」と久米水産の新垣さんは言います。久米水産では栄養素のバランスがとれているペレットというドライ状のエサを与えています。実は養殖業をするにあたってえさは最もコストのかかる部分。けれど「おいしく健康な身質を作るためにはいいエサが必要なんです」と話してくれました。
エサやりはゆっくり時間をかけて行われます。魚の様子を観察しながらエサのやりすぎを防ぐことと、まんべんなくエサを与えるためです。またエサを与えすぎないのは、海を汚さず環境と共存するために必要なことでもあります。他に藻やこびりついてしまういけすの網を3ヶ月に1度ひきあげて、こびりついた海藻を丁寧に落としてキレイにするのも、沖縄ミーバイの健やかな成長と海の環境を考えてのことです。宮城島の海の透明度が高くきれいなのは、こうした生産者の方の努力の結果でもあります。
新垣さんおすすめの沖縄ミーバイの食べ方は「ミーバイスープ」。沖縄ミーバイのアラを使ってだしをとることで一匹丸ごとの味わいが楽しめます。また他にも刺身をはじめとして、沖縄ミーバイのお寿司やしゃぶしゃぶ、皮のからあげ、バターソテー、中華蒸し、兜の炭火焼などバリエーションは豊富にあります。今沖縄ミーバイは県外、海外へと広く普及しようとしています。地元沖縄でも、美しい海で育てられた安心・安全・おいしい沖縄ミーバイがさらに認知されうけいれられ、それがひいては県全体の魚食の発展へ繋がる動きになっていくでしょう。
取材日:2013.10.12