特集
- 南風原町 大城恭平さん
基本情報 | |
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名前 | 大城恭平さん |
場所 | 南風原町 |
作物 | はえばる美瓜(ヘチマ) |
農家歴 | 17年 |
沖縄の夏の二大野菜といえば、ゴーヤーとヘチマ(方言名:ナーベーラー)。かぼちゃで有名な南風原町は、実は県内で1、2位を競うヘチマの一大産地でもあります。南風原町では平成24年、町内産のヘチマに「はえばる美瓜(ビュウリー)」という新名称をつけ、話題を呼んでいます。取材で畑を訪れたのは9月初旬。太陽に照らされたはえばる美瓜の黄色い花がまぶしいほど咲いていました。
家族でヘチマを栽培している農家の大城さんは、農家歴17年。親の代から南風原町でヘチマを育てている農家さんです。畑に行ってまず目に飛び込んだのが、その変わった収穫方法。大城さん一家は左手に買い物かご、右手にバトミントンのラケットを持って畑を歩いています。ラケットではえばる美瓜の葉をよけて実が収穫頃かを見ているのだそうです。「ラケットは収穫にぴったり。腰を曲げなくていいし、面が広いから葉もよけやすい。その上軽いのがいい!」と大城さん。収穫がすいすいはかどります。
- 右手にラケット、左手に買い物カゴ
- 工夫していること
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ヘチマは台風にも比較的強く、ネットをかけて防風すれば影響も受けにくい野菜。また被害を受けたとしても回復が早い強い野菜です。ヘチマの成分のほとんどが水分ですが、栽培過程でも水分の管理はとても大事で、大城さんは敷き草をして乾燥防止をしています(敷き草には実が汚れないという利点もあります)。南風原町の土壌はジャーガルという保水性の高い土壌なので今年の夏、雨がほとんど降らなかった時期も比較的影響がなかったのだそうです。
また有害なカメムシ駆除のために、カメムシが好きな黄色いテープをまきつけたペットボトルを畑のあちこちに設置しています。こうして農薬を使う回数を減らすなど安心安全の工夫も行っています。
大城さんお宅ではどのようにヘチマを食べているか伺うと、やはり「ナーベラーンブシー(へちまの味噌煮)」が多いのだそう。驚いたのは、水分がたっぷりなのでヘチマの水分だけでカレーやラーメンを作るということ。ヘチマ自身の水分を美味しさとして全て食べることができ、ヘルシーな一石二鳥のレシピです。ヘチマは滑らかな食感で少し甘みのある味わい。「実は何にでもあわせやすい食材」と奥さまの清美さんは言います。
- はえばる美瓜の食べ方
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風原町では、はえばる美瓜を使った取組みも多く行っています。農村生活研究会の女性たちが小中学校へ講師としてはえばる美瓜の調理方法を教えていたり、また福祉事業所と連携してはえばる美瓜のピクルスを使い、「3Bバーガー」として売り出しています。
- はえばる美瓜は南風原町の誇り
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南風原町内の小中学校での総合学習や調理実習では「ヘチマ大好き」という生徒の声が多く聞かれ、調理実習などを通して小さい頃からへちまの調理の仕方を学ぶなど、南風原町では大人から子どもたちへ地元の野菜の素晴らしさが着実に伝わっています。はえばる美瓜を通したこうした取り組みが地域の方々を更に繋げ、町の誇りとなっています。
南風原町では、生徒たちに地域の食文化に関心を持ち、地元の特産物を調理し、食べてもらう機会として、地域で活躍している農村生活研究会の方たちを講師としてまねき、総合学習授業(調理実習など)を行っています。授業では、基本的な下処理の仕方、へちまの新しい食べ方などを学びながら、ヘチマについて楽しく学びます。核家族化が進む中で、様々な年齢層の地域の方から料理を教えてもらう機会はとても貴重。地域の方々との交流を通して地元野菜の素晴らしさを学ぶ生徒達は元気にほがらかに育っています。
取材日:2013.09.15