特集

VIVA! ハルサー ハルサーは畑で働く人の方言名です。

楽しく元気な沖縄の農家さんをたずねて巡るVIVA!!ハルサー皆さんに代わっていろんな話をあれこれ聞いちゃいます。

今回のハルサーさん紹介 Vol.08

宮城康吉さん  2011.08.15
宮城康吉さん 2011.08.15
基本情報
名前 宮城康吉さん
場所 今帰仁村天底
作物 マンゴー
農家歴 20年
今回は、沖縄の代表的フルーツマンゴーを、今帰仁で生産している宮城さんの農園におじゃましました。さとうきびなどの兼業から20年前にマンゴー専門に。現在年間約4万個を出荷されています。

両サイドのハウスにギッシリ!  ハウスの中はマンゴージャングル! マンゴーの葉、緑色が鮮やか◎

気の遠くなるような数字

マンゴーは小さい苗だと、5、6年。宮城さんの農園、あけのフルーツで植えているような大きめの苗だと、植え付けから3年ほどで実をつけるそうです。定期的に株の更新をしているということで、立ち並ぶハウスにはそれぞれ年数の違う苗が植えられていました。
栽培されている品種は、アップルマンゴーという名前で親しまれているアーウィン種。県内で栽培されているものはほとんどこの品種で、美しい紅色に色づくのが特徴です。

マンゴー栽培で一番手間が掛かるのが紐かけの作業です。マンゴーの花は、小さな花が房状に咲くのですが、その花が倒れないように上から紐で誘導します。そして実がつくと今度は実が下がらないように再び紐で引っ張りあげるのです。
宮城さんの農園では4万個出荷するということなので、紐かけ作業を8万回やる計算になります。なんとも気の遠くなるような数字です。

一つひとつの枝に手作業で紐かけされています。
一つひとつの枝に手作業で紐かけされています。

ハルサーさんにインタビュー!

おいしく食べるとっておきの方法

マンゴーは表面にブルームという白い粉のようなものがうっすらついています。

これは水分蒸発を防ぐために植物が自分でだしているものなのですが、熟するにつれこれがなくなり表面がツヤツヤと輝きだしてきます。ツヤツヤとして、果肉に少し柔らかみを感じられれば、その時がちょうど食べごろです。

それまでは冷蔵庫にいれたりせず、食べる1時間くらい前に冷蔵庫に入れて冷やすのが一番美味しい食べ方だと教えていただきました。


またマンゴーは冷凍もできるそうです。その場合はマンゴーを皮付きのまま丸ごと冷凍します。注意してほしいのは、生のような状態には解凍できないので、食べるときに全部解凍するのではなく、半解凍のなった時にシャーベット状態でいただくのが良いそうです。

美味しさは表面でチェック
おいしいマンゴーの見分け方

生産農家の宮城さんに、美味しいマンゴーの特徴を教えていただきました。

まず全体にまんべんなく色がのっているものが良いそう。アーウィン種なら果実のおしりのほうが黄色かったり、緑がかっているものより、特徴的な紅色が全体的に広がっているものが美味しいということでした。

真ん丸くて美味しそうなマンゴー
あたらしく取り組んでいること

宮城さんがマンゴーをはじめた20年ほど前は、まだまだ生産農家も少なく、栽培方法も試行錯誤だった時期。マンゴーの木を背丈くらいの大きさに仕立てていましたが、紐かけ作業を考えると負担が大きいのが悩みの種でした。


そこで近年植えつける新しい株では、新しい仕立て方を試みることにしたそうです。それは早い段階から剪定を行うのに加え、太い幹の部分を下方に誘導することで、人の腰の高さ以下に樹高を抑えます。

この高さだと紐かけ作業の負担も減るうえ、果実への日あたりも期待できるそうです。日々研究しながらマンゴー栽培に取り組んでいるということでした。

これぞハルサーの技!
これからの夢
常に新しい課題にとりくんでいる宮城さんの夢は、新しい品種を導入すること。
沖縄ではアーウィン種の栽培が多く、そのため収穫期なども重なり、市場に出荷される時期も同じなため、旬の季節が固定されがち。さまざまな品種を植えることで収穫の時期がずれ、長い間消費者に楽しんもらえるようになるそうです。
沖縄で栽培しやすい新たな品種を検討するため、研究会も立ち上げられたそうです。
消費者の選択肢も増えるということで、今後を期待したいところです。

研究熱心な宮城さん

ライター後記

沖縄の高級フルーツとしてすっかり定着した感のあるマンゴー。お訪ねしたのは収穫期の最後のほうだったのですが、それでもハウスの中には紐かけされたマンゴーがいっぱい! 手間がかかっている分、美味しいのだと納得の取材でした。

宮城康吉さん

フォトアルバム

取材日:2011.08.15