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まーさんピーポー vol.4 沖縄の伝統料理は絶対に残さないといけないと思います。 リザンシーパークホテル谷茶ベイ アシスタントチーフ 我如古明さん 幼少の頃より、工作やモノを作る事に興味を持つ。更に、祖母や母親の影響も受け料理の道へ。現在はリザンシーパークホテル谷茶ベイのチーフを務める。

今回は、リザンシーパークホテル谷茶ベイのチーフを務める我如古明さんにお話を伺いました。ちょっとした料理の一手間もお聞きしましたよ。皆さんもぜひ参考にしてみてください。

-さっそくですが、沖縄食材の魅力とは何でしょうか?

紫外線が強い環境で育つので、力強い野菜が多いですね。

最近の野菜は、全体的にくさみやアクが無くなってきていますよね。
本土の野菜は甘みが強くて、特にそう感じますね。

でも、アクは旨みの一つなんです。
その点では沖縄の野菜は味が濃いですね

-アクが強いというと、私たちはあまり良くないイメージなのですが。

野菜のダシを取るにしても、アクがある野菜の方が旨みがいっぱい出ます。
僕等がコックになりたての頃は、もっと野菜のアクが強かったんですよ。

リザンシーパークホテル谷茶ベイ チーフ 我如古明さん

-私の小さい頃も、野菜は、もっと泥臭かった気がします。

そうですよね。臭かったので、苦手な人も多かったんですよね。
その野菜の特徴が薄くなって来ていますよね。

リザンシーパークホテル谷茶ベイ チーフ 我如古明さん

-島野菜をどのように取り入れていらっしゃいますか?

例えば、ゴーヤーはサラダのトッピングなどに使っていますね。塩も使わないで、水にさらしただけで使用します。食材をそのままで使うという感じですね。最近では、本土の方にも、ゴーヤーや海ぶどうも認知されてきましたね。

昔はゴーヤー料理を作って出しても、なかなか食べて貰えなかったです。沖縄ブームもあって、特にゴーヤーは全国的になりましたよね。

昼間はアジアンをやっているので、ゴーヤーはカレーにも入れています。 東南アジアのココナッツミルクを使ったカレーに特に合いますよ。

-カレーを作る時にゴーヤーはどのタイミングで入れるんですか?

僕は、最後に入れますね。

ただ、煮込み料理の場合は、塩もみはした方が良いと思いますよ。又は、軽く表面をソテーした方が良いですね。
そうしないと、カレーの味が全部ゴーヤーになってしまいます。煮込み料理は一つ一つの食材に、味があった方が良いと思うんです。
塩もみやソテーすることによって、切ったゴーヤーの周りがコーティングされる状態になるんですよ。

更に、水分を飛ばすと野菜は味が濃くなります。
そうすると、味が混ざらなくなります。
後は、野菜の水分でソースが薄くなる事を防げます。

僕は、そういう使い方をしていますね。

最後に、入れる順番も重要です。
じゃがいもは、煮くずれてしまいますので後から入れます。
カレーの場合も、沸騰してから最後に入れた方がいいですよ。

ちょっとした一手間なんですが、コレだけで美味しく仕上がります。

-小さい頃に食べていたお料理の思い出はございますか?

お袋も、祖母も料理上手でしたね。祖母は昔から洋食も得意でした。
油味噌ってありますよね。あれが祖母の味でした。
僕は、学生の頃に愛知県にいたのですが、その時に、たくさん送ってくれましたね。

-親子三代でお料理上手なんですね。

僕は料理に限らず、昔から何か作るのが好きでしたね。
工作も好きでした。もともと、そういう事が好きなので料理人には向いていたのかな、と思います。

-お料理は、芸術的な要素も強く感じますね。

芸術的な感覚は必要だと思いますね。

最初にこの料理の色には、これが映えるという全体像までイメージするので、自分でトータルでコーディネートしないと納得がいかないんですよ。
お皿もそうですし、テーブルまわりの飾りにもこだわりがありますね。

リザンシーパークホテル谷茶ベイ チーフ 我如古明さん

-今回は特別にお料理を作っていただきました。まずは、紅芋のスープカプチーノ仕立てをいただきます。

紅芋と玉ねぎが少し入っていますね。

-紅芋のピューレは一度蒸してから潰すのですか?

ピューレになったものがあって、こちらの方が色がキレイなんです。

それから、紅芋の種類によって色が出る品種と出ない品種があります。
よく色が出る紅芋は甘みが少ないんですよ。だから、今回も少し甘みを出すためにグラニュー糖を入れました。

泡立てた牛乳で覆っているので、スプーンですくった時に中の紅芋の色が出るんですよ。

リザンシーパークホテル谷茶ベイ チーフ 我如古明さん

-わぁ!!すごくキレイですね。

スプーンでかけていった後に色が出るので、段々と色が変化しますね。

-美味しいですね。ほっこりする甘さで、ちゃんとお芋のお味がします!

余計なものは入れないで、お芋のお味がストレートに出るように調理しました。
香りと色が出るので、こういった料理の時は甘くないお芋の方が良いですね。

※紅芋のスープカプチーノ仕立てのレシピはこちらから

-続いて、田芋のラビオリですね。

田芋は、結構チーズと合いますよ。焼いたら美味しいですし。

中身はパンチェッタと言って、三枚肉の塩漬けと田芋を刻んで合わせてあります。
バターも入ってますよ。

-生地も弾力があって、とっても美味しいですね~。

生地は、簡単に作れますよ。

伸ばして成形するのが難しいかもしれませんが、そばみたいに切るんだったら簡単に出来ます。
強力粉100グラムに卵一個と塩とオリーブオイルだけです。これを、こねて伸ばすだけ。

ただ、茹でると結構膨らむので、その分薄くしないといけないですね。

-沖縄の田芋の特徴は?

きめが少しあらいですね。里芋よりもホクホクしている。
じゃがいもで言えば、男爵が田芋でメークイーンが里芋といったところでしょうか。

リザンシーパークホテル谷茶ベイ チーフ 我如古明さん

リザンシーパークホテル谷茶ベイ チーフ 我如古明さん

-県民の方に県産食材をもっと食べてもらうには。

地産地消の良いところは青い葉をそのまま食べられる事ですね。
できるだけ、野菜は移動させない方が良いですね。輸送の距離が長いと、どうしても早めに収穫したりしてしまいますからね。

採りたての野菜は水分量が違うんですよ。採って少し置いただけで、水分はすぐに抜けてくるんです。そうすると、繊維質だけが残ってくる。だから、歯ごたえや香りが全然違ってきてしまいます。
採りたてが一番美味しいです。調味料も何もいらないですよ。
葉やさいは特に違いが顕著ですね。

それから、県産食材を残したいのであれば、伝統で培ってきた昔ながらの沖縄料理も残していかないといけないと思います。代用がきくのだったら他ので良いんじゃないか、となってしまいますよね。

昔の料理は、生産者の方や先人たちなど、すごくたくさんの人の手が加わってきてるという事なんですよ。伝統を守る事によって、県産食材も残っていくのかなと思いますね。


伝統料理は絶対に残さないといけないと思います。

もの静かな受け答えの中にも、芯の通ったお人柄が感じられる我如古さん。沖縄食材やお料理に対するこだわりが、ひしひしと伝わって来ました。我如古さんの姿勢を通して、改めて取材班も身の引き締まる思いがしました。
そんな我如古さんがアシスタントチーフを務めるリザンシーパークホテル谷茶ベイでは、素材の良さを最大限に活かしたお料理をご提供しています。目の前に広がる雄大な海と共に、こだわりのお料理をお楽しみ下さい。

リザンシーパークホテル谷茶ベイの公式ウェブサイトはこちらです。http://www.rizzan.co.jp/index.html

取材日:2012年3月16日

我如古さんのレシピ"

紅芋のスープカプチーノ仕立て

材料 4人前

無塩バター 10g
玉ねぎ(ミジン切り) 50g
紅芋(ピューレ状にした物) 100g
500cc
グラニュー糖 適宜
適宜
牛乳 100cc
生クリーム 40cc
シナモンパウダー 適宜
  • 1.玉ねぎをバターで炒める(水分が無くなり飴色になるまで弱火で良く炒める)
  • 2.1.に紅芋、水、グラニュー糖、を入れよく混ぜ10分位煮込む。
  • 3.2.をミキサーにかけピューレ状にする。
  • 4.鍋に戻し、塩、牛乳、生クリームで味を整え、珈琲カップに7分目くらい入れる。
  • 5.温めて泡立てた牛乳を覆うように注ぐ。
  • 6.最後にシナモンパウダーを中心にかけ出来上がり。
※ポイント
紅芋の色がきれいに出る様に煮込みすぎに注意する。
もし色が悪くなったら、仕上げにもう一度紅芋のピューレを入れ色だししても良い。
泡立てた牛乳を上にのせるでスープ自体の味付けは、若干濃い目にした方が良い。