コラム おいしい沖縄
角をたてず、丸~くがウチナー流。
ハイタイ!島ナイチャー嫁のイハヨシコです。アツい、アッツい、ほんっとに暑いですね、と言いながら、この猛暑の中、夏休みで退屈になってきたウーマク娘と暑さでグデグデの私はうるま市の義父の畑に行ってまいりました。しかも紫外線対策万全で普通に歩いていたら怪しい人にしか見えない素人農作業ファッションでです。(さらに久しぶりの実家訪問!というダメ嫁ぶり健在ですが...。)そんなどうしようもない私と違って畑には太陽ビームをバンバン浴びて元気に美しく咲いていた花がありましたのでお見せしますね。
さて、この写真は何の花だと思いますか?これはハイビスカス? いえいえ、もちろん朝顔でもありません。そう、これは野菜の花の中では群を抜いて美しいといわれるオクラの花。きれいでしょう?オクラの花ってこんなチュラカーギー(ウチナーグチで"美人"という意味)なんですよ。でもこのオクラ、ナイチャー(本土の人)が想像したオクラとはたぶん違います。私も沖縄に来た時、「これは青トウガラシっぽいなー?」と思ったほど。オクラって星型で角ばっていると思っていたのですが、私が初めて接した沖縄のオクラは、丸くて長いんです。本土で食べていたオクラは大体長さ8cm位ですが、こちらは10~15cmとジャンボ。これは"丸オクラ"といって沖縄ではこちらが定番。オクラはアフリカ原産なので高温の沖縄にはぴったりな野菜なので、角オクラ、丸オクラ、赤オクラなど様々な種類を栽培していますが、県外出荷は角オクラ、県内消費は丸オクラがメインという感じです。
地域にもよりますが、本土でのオクラ栽培はこのチュラカーギーな花をつけて通常4~5日で収穫しますが、沖縄はかなり暑いため2~3日で収穫が可能です。とにかく一日の成長が早いので、オクラ農家さんは一日2回は収穫しないと追いつかないようです。一日でも収穫を忘れるとビッグサイズになりすぎて市場には出せなくなり、家の食卓にのぼります。角オクラの場合は筋が硬いので食べられなくなってしまいますが、丸オクラの場合は、角が立っていない分とても柔らかいので多少大きくなっても大丈夫!ですから沖縄の気候には丸オクラが合っているのかもしれません。(人づきあいも角を立てずに丸~く収める、優しいウチナーンチュとそっくりですよ!)さらに丸オクラは甘いので、シンプルな味付けでオクラメインのレシピが似合うんです。我が家ではサッと塩ゆでしてひと口大に切って酢醤油と鰹節(ちょっと豪華にポン酢と冷しゃぶ豚肉でもOK)を混ぜて食べるのが定番ですが、美味しいだけでなく、かなりの量もたいらげてしまいます!それにこのメニュー、暑い夏にはもってこい!の手抜き極上ヌチグスイ料理ですよ。まずオクラ自体が栄養豊富!同じ夏野菜のゴーヤーも熱に強いビタミンCやモモデルシンという食欲増進の成分もあり(詳しくは少し前のコラムを読んでくださいね)、夏に欠かせない野菜ですが、オクラパワーもすごいんです。例えばカロテン(ビタミンAの元となる栄養成分)はゴーヤーの約4倍、カルシウムは6倍以上、マグネシウムは3倍以上、カリウムは同じ位含んでいます。そこに独特のネバネバ成分、ペクチンやムチンが存在する。ペクチンは血中のコレステロールを減らし血圧を下げる効果がありますし、ムチンには胃粘膜の保護やたんぱく質の消化促進、整腸作用まであります。そこに疲労回復効果とカルシウム吸収率をアップさせる酢とたんぱく源をプラスすれば、沖縄の夏だってドンと来い!です。酢には他に血糖値の上昇を抑えたり、血圧を下げる効果、食欲増進などの作用も期待できるので、夏バテには最高のコンビネーションですよ!我が家では旬の時期には山のようにオクラが冷蔵庫に入りますので、下ゆでしておいてチルド室で保存し、いつでもお味噌汁やサラダ、納豆や煮物、炒め物にササッと入れて利用しています。鮮やかな緑色も料理を美味しく見せてくれるので本当に重宝しています。
娘と畑に行って、また義父の作る野菜や果物を袋一杯にもらって帰ってきました。もちろん丸オクラも。ただただありがたいのひと言ですが(タダだからありがたいのではありません!)、とにかく元気ピンピンの新鮮なオクラなので、調理する時はいつも手のひらのどこかがチクチク痛くなるんです。とれたてだと本当にトゲがたくさんあって板ずりも恐怖の連続。「ビニール手袋をしたら?」という友人のアドバイスをいつも忘れ、やってから気づくダメな嫁ですが、せめてふやけた手でやらないように、それだけは注意したいと思う真夏の昼下がりなのでした。
イハヨシコ
2012/08/20