コラム おいしい沖縄
オジィ、オバァの腰痛の種。
ハイタイ!島ナイチャー嫁のイハヨシコです。今朝から軽い腰痛に悩まされています。原因はわかっています。昨夜の綱引きです。いや~「所変われば品変わる」とはよく言ったもので、綱引きさえも東京と沖縄、違うんですよね。私が住んでいる宜野湾市では3地区で一斉に大綱引きが開催されました(那覇や糸満など県内各地で開催されているようです)。私と娘は近くの真志喜地区の大綱引きへ見物に。すると「皆さーん、ご参加くださーい」というアナウンスが...。「綱引きかぁ、数十年ぶりだし、こういう地域のお祭りに参加するのってウチナーンチュの気分。ヨシッ!いっちょやったるか~!」とワクワクドキドキしながら列の中へ。ところがその綱の太いこと。直径が40cmくらいはあるので握ることなんてできません。さらに綱は一本ではなく、中央がそれぞれ輪になった2つの綱に分かれている。「えっ、別れてたら引けないじゃない!どうやって綱引きするの?」と謎に包まれたまま「はい、綱持ってー」の合図。するとその輪の部分を下から男衆が何本もの棒で支えながら「押せ、押せぇ~」といって、相手の輪にぶつかって行く。これは"アギエー"といってお互いに押し合い、先に地面についた方が負けという勝負なんだとか。「綱引きじゃなくて綱押しだ」。訳がわからず言われるままに押したり引いたりしながら、何とか2回戦とも勝利!「やったぁ!」隣の見ず知らずの人とハイタッチをして大はしゃぎ。「なんか、いいなーこういうの」。さてこれで終わりかと思いきや、今度は輪の片方に体重のありそうな男たちが乗っかり輪をつぶしてる。そしてもう片方の輪の中に突っ込んでカヌチ棒で結合。近くのおじさんが「ドッキングだよー」というので「え?じゃあ男と女みたいですね?」と冗談でいうとなんと大当たり。この二つの綱はメンダカリ(雄綱)とクシンダカリ(雌綱)という名が付いているとか。なるほどぉ~。さてドッキングしてやっと綱引きがはじまり、ありったけの力で引っ張った。結果は大勝利。アギエーも含め私サイドは4戦全勝!やや興奮気味で娘と家に帰ったのですが、やり遂げた感とともにやり過ぎた感もあり、お陰で腰痛です。綱引きは約5,000年前に中国から発祥し、やがて東南アジアや日本、そして約300年前に沖縄に伝えられました。綱は竜を表し、雨乞いの儀式として行われています。
極暑の沖縄の地を潤すのが大綱引き、その約100年後にウチナーンチュの夏の身体を潤してくれる野菜も同じ中国から伝わってきました。それはシブイ(「冬瓜」のこと沖縄では「シブイ」といいます)。シブイは夏に実り、冬まで保存可能な夏野菜です。水分が95%以上、ビタミンCやカリウムを含むため、ほてった身体の熱を取り去るだけでなく、低カロリーで利尿作用もあり水太りの人のダイエットにもおすすめですよ。本土にいる時は、高級料亭などで翡翠煮のようにして食べたことがありますが、あまり一般的でなかったような記憶があります(我が家だけかな?)。でも沖縄では有り余るほど収穫されています。というかそのまま畑に放置されることも多々あるほど。沖縄も本土と同様に農家の高齢化が深刻です。シブイは栽培に比較的手間がかからないためオジィ、オバァでも楽に育てることができるのですが、昔から栽培されているものは10~15㎏にまでなる大型種で、その種を今でも使っている70歳や80歳のオジィ、オバァにとって「シブイヤ、ンブサンドー」(=「冬瓜は重いねぇ」)なのです。すなわち収穫は腰痛の種。(いろいろな点で綱引きと一致!)そのため畑に置き去りになることがあるのです。それを解消するため3~4㎏の小型種、7~8㎏の中型種などの品種も登場したり、読谷村ではシブイを使った加工品を共同開発(商農工連携)したり、農家さんの腰痛の種、頭痛の種を何とか消費に咲かせている状態です。
シブイは、味がほとんどなく淡白ですが、柔らかく煮て煮汁を染み込ませると絶品に変わります。豚肉や鶏肉など脂のうま味がある食材とともに調理するとGOOD!我が家ではソーキ汁を作る際、大根の代わりにシブイを使います。夏バテ予防には煮る際島にんにくと生姜のスライスを投入、さらに澄まし汁ではなくお味噌仕立てにしてアチコーコー(熱い)をいただきます。食欲をそそり、むくみも解消してくれるシブイ入りソーキ汁、猛暑の夏はこれで決まり!
イハヨシコ
2012/08/06