コラム おいしい沖縄
はじめに&クールビズの定番といえば、ゴーヤー。
はじめに
ハイタイ!島ナイチャー嫁のイハヨシコです。
といってもタイトルからわからない言葉の連続という方いませんか?
大丈夫、私も8年前はその一人でした。
会話の端々がわからなかったり、地図の地名や人の名前が読めませんでした。
沖縄には「ウチナーグチ(=沖縄の方言)」がたくさんあって(本島の中でも北と南で多少違うし、離島などは本島とも異なるようです)、実際今でもカジマヤー(簡単にいえば長寿のお祝い)を迎えた97歳のおっきいオバァ(義母の母)の話はさっぱりわからず笑ってうなずいているしかないし、義父と義母の二人だけの会話は「?」で、私にとっては英語より難しーさぁ(「○○さぁ」もウチナーグチ)。
ということで、まずは単語の説明。
「ハイタイ」とは「ハイサイ(=こんにちは)」の女語。だからよく聞く「ハイサイ」は、実は男語です。
またウチナーグチでは沖縄の人を「ウチナーンチュ」や「シマンチュ」、本土の人を「ナイチャー」や「ヤマトゥンチュ」と呼んで、本土から沖縄への移住者を「シマ(島)ナイチャー」と呼びます。
だから東京から嫁いできた私は"島ナイチャー嫁"。
その東京生まれ東京育ちの根っから都会っ子の私が沖縄の「ヌチグスイ(=命薬)」という考え方にすっかりはまってしまいました。
「ヌチグスイ」とは、沖縄が琉球王国時代に影響を受けた中国の"医食同源"がもととなって、今では食だけでなく、さまざまなことが「クスイムン(=薬)」になると言われています。
例えば美しいものは「目のクスイムン」、いい音楽は「耳のクスイムン」、そして笑いは「心のクスイムン」。
その中でも食は身体に一番大切なクスイムン。
そんな沖縄のヌチグスイな話をこれからお話していきたいと思います。
読んで元気になったり、へ~沖縄ってそうなんだ!というような、皆さんにとってちょっとしたクスイムンになれば幸せです。
クールビズの定番といえば、ゴーヤー。
夏の沖縄食材を一文字で表すなら「実」、と勝手に思っているのは私だけかもしれませんが、とにかくどこのマチグァー(市場)もゴーヤーやモーウィー、オクラなどの果菜類、マンゴーやパイン、島バナナなどのフルーツ、つまり「実」が山積み状態。
中でもゴーヤーは群を抜いています。ところが、このゴーヤー、どんどん売れるんですよね~。そう、毎日食べても飽き足らないのがウチナーンチュ。
体が欲しているとしか思えないんです。私の家の冷蔵庫の野菜室を占領するゴーヤーも今ではきれいに消費します。(実は沖縄に来てまだ一度もゴーヤーを買ったことがなく、いつも近所の農家さんや義父から大量にもらいます。
最初はあまりの多さでそのまま腐らせてしまったダメ嫁ですが、種とワタを取ってラップでくるんで保存すると日持ちすると知ってからはシメシメという感じ!)
さて、ではなぜ毎日食べてしまうのか?それはゴーヤーが“食のクールビズ”といっても過言ではないからです。
例えば、ゴーヤーにはチャンプルーにしても壊れにくい加熱に強いビタミンC※、汗で失われるミネラル類が豊富。またゴーヤーのアイデンティティーといえる苦味、その成分モモルデシンには、胃液の分泌を促し、食欲を増進させ、肝機能を高めて血糖値を下げ、さらにアンチエイジングの要、抗酸化作用まであります。
これだけでも夏の身体を労わってくれそうですが、それだけではないのです。中国の漢方料理、いわゆる薬膳では、五性(食べ物を熱、温、平、涼、寒の五つに分類したもの)の中でゴーヤーは、身体を冷やす性質をもつ「寒」にあたり、解熱、消炎、鎮静作用があるとされている。すなわち身体をクールダウンさせるんですねぇ。
すごい!暑くて長~い夏でもウチナーンチュがいつもガンジュー(元気)なのは、かりゆしウエア(沖縄の夏の正装、ビジネスウエア)もさることながら、ゴーヤーのおかげともいえそうです。
熱帯アジア原産で江戸時代に日本に伝わり、苦瓜という呼び名からゴーヤーという沖縄の呼び名で、今や北海道でも生産される全国区にまで出世した野菜。
その栽培過程は、緑のカーテンと呼ばれ、葦簾(よしず)に代わる夏の風物詩にまでなろうとしています。
温暖化や省エネが深刻になりつつある日本、そして地球にとって、ゴーヤーはまだまだ出世しそうな期待のベ・ジ・ネ・ス・マ・ンかもしれません。
※ビタミンCは、シミやソバカスの元となるメラニン色素の生成を予防したり、肌のハリに欠かせないコラーゲンの生成を促す。
イハヨシコ
2012/05/14